デジタル社会の子どもたち -健やかな育ちを願って-
この度群馬県小児科医会で大変お世話になっている竹内香代子先生よりバトンをいただきました、村松礼子と申します。尊敬する竹内先生の後に続くことに少々気後れしておりますが、どうぞお気楽にお読みいただけましたら幸いです。
近年、子どもがスマートフォンやタブレットなどの情報端末に触れる機会は急速に増えています。動画視聴や学習アプリ、オンラインでの交流は、知識の獲得や視野の拡大に役立ち、興味のある分野を自ら探究できる点や、音声・映像を通して直感的に理解できる点は大きな利点です。また、遠方の家族や友人とつながる手段としても有効であり、適切に用いれば学びと社会性を広げる道具となります。
一方で、発達の観点からは慎重さも求められます。特に乳幼児期から学童期にかけては、身体を使った実体験や他者との直接的な関わりが、脳や心の基盤を育てます。端末中心の生活になると、外遊びやごっこ遊び、友達との衝突や協力といった経験が減りやすくなります。受け身の視聴が長時間続くと、集中力や自己調整力の発達に影響する可能性も指摘されています。
私は現在日本小児科医会子どもとメディア委員会の委員として活動しています。医会が提言する「遊びは子どもの主食です」という表現は、遊びが発達の付随的活動ではなく、生理的基盤を支える必須要素であることを端的に示しています。
子どもの発達において遊びは学びそのものです。積み木を積む中で空間認知や試行錯誤する力が育ち、鬼ごっこでは体力やルール理解、仲間意識が養われます。ごっこ遊びでは想像力や言語力、他者の気持ちを推し量る力が伸びます。こうした遊びは五感を総動員し、失敗と成功を繰り返しながら主体性を育てる営みです。
情報端末はあくまで補助的な道具として位置づけ、遊びや対面での関わりを土台に据えることが大切です。使用時間や内容を家庭で話し合い、共に体験を振り返ることで、端末はより良い学びの一部となります。子どもにとって最も豊かな教材は、身近な人との関わりと、自由で創造的な遊びであることを忘れてはなりません。
臨床現場では、単に禁止中心の指導ではなく、家庭背景を踏まえた伴走型支援が求められます。外遊びと対面交流を優先しつつ、使用時間・内容・環境を具体的に助言することが現実的です。
私は数年前から園医をしている子ども園で、入園の保護者に「デジタル社会の子育て、幼児期に大切なこと」という子どもとメディア委員会作成のポスターを使用しながら講演をしています。今後も委員会活動を通して子どもたちの健やかな毎日をより良いものにできるよう尽力していきたいと思います。もしポスターをご所望の先生がいらしたらぜひお申し付けください。
