開業して思うこと

 群馬大学の小和瀨教授よりバトンをいただき、この度コラム ミネルヴァへの執筆機会をいただきました。誠にありがとうございます。私は、2020年11月、渋川市内に内科・小児科のファミリークリニックを開業させていただきました。本当に沢山の方々にお世話になり、今のクリニック、私があります。心から感謝しております。今回は約3年前開業を決意した当時を振り返ってみました。
 当時群馬大学の地域医療研究教育センターに所属しておりました。センターは群大病院改革の3本柱として、田村前病院長が掲げられた構想で、私はご縁あってセンターの立ち上げから関わらせていただくことになりました。立ち上げには、群馬県医師会会長の須藤先生をはじめ諸先生方、群馬県健康福祉部の皆様にも大変お世話になり、沢山のことを学ばせていただきました。センターと同時に立ち上がったぐんま地域医療会議の事務局としての活動、会議への参加も得がたい経験となりました。また、群馬県の地域医療構想アドバイザーとしても活動させていただき、厚生労働省主催の研修会や県内各医療圏での地域医療構想調整会議などにも参加させていただき、医療行政の一端を微力ながら担わせていただきました。大学在籍時代の診療面では、総合診療科にて、小和瀨先生はじめ、先生方とディスカッションをしながら、専門領域に縛られない様々な面で深い総合診療を経験することが出来ました。開業前の3年間、大学皆様のおかげで成長する機会をいただくことができました。医師偏在問題への取り組みや総合診療の実践等を通じて、地域医療の現場へ戻ろう、開業しようと思い至ったのかもしれません。
 開業のお誘いはある日突然、日本野鳥の会の前橋分会長さんから届きました。私と主人は趣味で日本野鳥の会に入っているのですが、野鳥の会のご縁でお話が来たのです。人生、どんなことがきっかけで変わるか本当に分かりません。私にお声掛けいただいた水沼先生には大変感謝しております。
 開業を決心したというものの、当時の私には開業準備のなんたるかがお恥ずかしながら全く分かっておりませんでした。医院建物をはじめ種々の選択・交渉・売買・契約、しなくてはいけないことは山ほど。電子カルテ選択等旧第二内科同門の先輩方に大変お世話になりました。苦手な交渉等は旧知の経営者の方にご助力いただきました。また、開業資金は須藤会長からお声掛けいただき、群馬県医師信用組合様に大変よくしていただきました。1番難問なスタッフ確保の一部は、前院長水沼先生にお心配りいただきました。本当に皆様に感謝しかありません。
 開業してからあっと言う間でした。当院も医療法人になり、もうすぐ2期目を迎えます。これからも皆様への感謝をこころに刻みながら、群馬県医師会、渋川地区医師会の一員として地域医療に邁進したいと思っております。

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