若手産婦人科の視点から

 伊勢崎市民病院 原澤先生からのご紹介で執筆させていただくことになりました群馬大学医学部附属病院産科婦人科 後期研修医の塚田蓉子と申します。原澤先生とは大学時代6年間剣道部で一緒に汗を流しました。

 過去に掲載されている諸先輩方のコラムを拝読し、若輩者の自分が執筆させていただくことは大変恐縮です。どうぞ片手間に寛大な心でお読みください。

 さて日本の出生数は減少の一途をたどり遂に2024年は70万人を下回りました。産婦人科医師になりまだ4年目ですが、その短期間でもお産が少なくなっていることを体感します。また無痛分娩の取り扱い施設が多くなり、特に群馬県だと開業医さんがほとんどのため各地域の総合病院の分娩数の減少は顕著になっております。(群馬大学は2022年から無通分娩を導入しております。是非ホームページをご閲覧ください。)

 お産は減っているものの、いつ起こるかは予測できないため、産婦人科医師の当直回数は月6回から多い時は10回程度あり(10年以上前は月の半分を当直されている先生が大勢いらっしゃいました。)他の科の先生に驚かれることもしばしばです。働き方改革が進む中、産婦人科医師の働き方も見直されつつありますが、それでも、勤務体制を大きく変えることは難しいのが現状です。

 産婦人科医師の働き方を見直す上で、若手医師の確保は勿論ですが、群馬県の周産期医療の体制の変革も今後重要になってくると思われます。昨年群馬県立小児医療センターの群馬大学の隣接地への移転が発表されました。今後は周産期医療の集約化が進み、限られた医療資源の中で、より専門的で質の高い医療を提供する施設の構築が求められます。集約化により、拠点施設での分娩件数は多くなることで若手医師の経験値は高まり、緊急時の対応力も磨かれます。また、当直負担も分散させることで、働く側にとって持続可能な体制が整えられ、産婦人科医師の働き方改革に大きく貢献されると考えます。  一方で集約化により「距離的な不便」、「地域の分娩施設の喪失」といった妊婦さんたちの不安が伴います。そのため搬送体制の強化やオンラインによる遠隔診療の活用など「集約化によってこぼれ落ちる部分」をどう支えるかが、今後の大きな課題になってくると思われます。周産期医療の集約化が妊婦さんによって「サービスの縮小」ではなく、「サービスの向上」につながるよう若手医師として日々考え、邁進していきたい所存です。

最近のコラム