群馬大学におけるダイバーシティ推進の取り組み
この度は、コラム ミネルヴァに執筆の機会を与えていただき、大変感謝申し上げます。
私は、この4月から、群馬大学ダイバーシティ推進センター長・副学長(ダイバーシティ担当)を拝命いたしましたため、この場をお借りして群馬大学のダイバーシティ推進の取り組みについて、簡単ではございますが、ご紹介したく存じます。
群馬大学においては、【多様性と活力ある教育・研究環境の実現をめざし「まゆだまの10年」として男女共同参画を恒常的に発展させる】という学長のコミットメントの元、2013年にセンターの前身である男女共同参画推進室が設置されました。同年から文部科学省の研究助成を受けて、「まゆだまプラン」、そして「まゆだまプラン・アドバンスト」を継続的に展開しております。これは、女性研究者の増加というばかりでなく、その能力を十分に発揮し、リーダーとして大学全体で育成していく環境を目指すことを目標としております。
具体的には、ライフワークバランスを支援するための事業(研究活動支援や託児等費用補助)、研究促進事業(共同研究促進事業、スタートアップ支援)、意識啓発(セミナー等の開催)ばかりでなく、「ぐんまダイバーシティ地域推進ネットワーク」で学内外のダイバーシティ環境を創出したり、優秀な女性研究者の獲得(女性限定公募、上位職ポストアップシステムなど)、性の多様性に関する対応ガイドラインの作成・相談窓口の設置やセミナーを行ったりしております。
実は、この「まゆだまプラン」が開始された頃、私自身も大変多くの支援をいただいております。特に、研究活動支援で、研究支援者を雇用することができ、研究を継続することができました。さらに、子育てと仕事の両立に悩んでいた時に、両立支援アドバイザーやコーディネーターの方に有意義なアドバイスを頂戴し、仕事の継続が可能となった経験もございました。研究助成金もいただきました。このように、「ここに来れば、相談に乗っていただける、応援していただける」という場があるということが大変重要と思います。
さて、「黄金の3割」理論(ロザベス・モス・カンター)について簡単にご紹介申し上げます。これは、組織のなかでマイノリティの割合が3割となったときに、意思決定に影響力を持つという理論です。3割以下だと、「トークン(名ばかりのもの)」ととらえられ、意見を言いにくくなるという傾向があるとされています。第5次男女共同参画基本計画(2020年12月25日閣議決定)では「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」と定められております。加えて、国立大学協会のアクションプランでは、教授は20%以上、准教授は30%以上と目標値が設定されています(2021~2025年度)。しかし、2023年4月時点で、医学系(附属病院、協力講座等含む)においては、教授は4名(8%)、准教授も4名(9%)であり、その目標達成には、かなりの努力を要する状況です。今後、大学の使命として、様々な背景を持つ多様な人々がその能力を十分に発揮できるよう、ダイバーシティを推進していくことが大切と考えております。