ビタミンDは骨粗予防 転倒予防のみならず

 東邦病院の齊尾友希江先生よりバトンを頂戴いたしました、伊勢崎福島病院整形外科・リウマチ科の大塚です。

 ご認識の通り、関節リウマチ(RA)は病態そのものが破骨細胞を分化・活性化しますので、傍関節性にも全身性にも骨粗鬆症を誘発し、骨折リスクも高めます。しかもRA治療ではステロイド治療を行うことも多いものですから、ステロイド投与時は投与量にかかわりなく骨芽細胞を介した骨形成低下がおこります。3か月以上経口投与する際は投与量によらず治療介入検討が推奨されております。本日は原発性およびステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインでも推奨される、『活性化ビタミンD』に注目をいたしました。

 改めましてビタミンDとはなんぞ?でございます。脊椎動物のわれわれは、体液を海水の遊離Caと同じに維持するために、「骨」という場所をCaの貯蔵場所にして、ビタミンDとPTHによる調節系を作り上げました。ビタミンDは、100年近く前に発見されてから、長く、食物からとり入れられるビタミンの一つと考えられてきましたが、でも本当は私たちの体のなか(80%が表皮基底層)で合成され、受容体が細胞の核内に存在し、しかも構造がステロイドホルモンの一種であることが1975年に確定されています。活性化ビタミンD3は、ヒトのもつ2万個以上の遺伝子のうち、少なくとも200以上の発現を増加させることが知られています。結果、ビタミンD不足は骨粗鬆症、筋力低下、関節炎以外にも、体中の不具合と関連することがFigure.1のごとく示唆されています(Nature Reviews Endrocrinology7,73-75:February,2011)。なお高齢者では表皮基底層のプロビタミンD含有量は若齢者の半分程度に減少しており、しかも皮膚資料に紫外線照射したときの合成量も若年者の40%に減少していたそうです。でもご安心を、です。ビタミンDは幸い経口投与が可能ではないですか!2024.6.16の読売新聞オンラインには脊椎動物の寿命の性差やビタミンDとの関係についての新知見も掲載されております。(100歳超の長寿者では、ビタミンDとかかわる遺伝子に特徴的な変化がみられる場合がある、他)興味津々でございましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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