パンデミックの、前と後
産婦人科の村田先生からバトンを受けました小児科医です。
2018年の病院移転のときは医局世話人だったため、図面と睨めっこし、医局の席決めのヒアリングや当直室のタオルの交渉など、勤務医のささやかな福利を守るために走り回りました。忘年会で初期研修医が進んで芸をしてくれて感動しましたが、その後は新型コロナとコンプラで吹き飛びました。
2020年のダイヤモンドプリンセス号の患者さん受け入れの日は院内でPALS(小児蘇生コース)のインスト活動中で、身を構える思いでした。2020年4月から2022年10月まで新生児を含む200人ほどの入院患者さんを小児科で受け入れました(最終的な人数は数えていません)。
さらに2020年春の長期休校に端を発して、10代の心身症の患者さんが次から次へと紹介される事態に直面しました。中でも摂食障害の紹介が相次ぎ、これは尋常ではないと、大同生命厚生事業団の研究費助成に応募し、全国調査を行いました。
2019~21年の小中学生の摂食障害患者について調査し、993施設中317施設から回答を得ました。同期間に摂食障害で入院した小中学生は総数644人で、新型コロナの影響がほぼなかった2019年と比較し2020年は新規入院数1.7倍、2021年は2.2倍と驚異的な結果でした。各年ともに30%が小学生で、神経性やせ症が75%、回避・制限性食物摂取症が20%でした。
また、10代の自死企図症例が、毎月のように搬送されました。 こどもたちは交流を制限され、どれほどの我慢や無理を強いられたのでしょう。自分のことを心から心配してくれる大人が周囲に2人以上いたかが、こどもの育ちの保護因子として重要とされています。出来るならそのひとりでありたいと願い診療を続ける日々です。