「一人診療所、はじめました」
渋川医療センターの佐藤亜矢子先生よりバトンを受け継ぎました、舘山佳那子と申します。この度はこのような機会をいただき誠にありがとうございます。
医師6年目になったばかりの私ですが、自治医科大学の義務年限で昨年度から東吾妻町国民健康保険診療所という無床の一人診療所で内科、小児科の診療をしております。また、週に一度、前橋赤十字病院消化器内科の先生方のご厚意で内視鏡の研鑽を積ませていただいております。
東吾妻町国保診療所は渋川と原町の間に位置しています。県央から草津温泉や四万温泉に行くときに通られたことのある方もいらっしゃるかもしれません。箱島という水のきれいな地域で、湧水は日本名水百選のひとつであり、夏には近くで自然発生する源氏蛍と平家蛍を見ることができます。山間なので時々防災無線で熊の目撃情報が流れるのにはまだ慣れません。そのほかにも、温泉や真田氏ゆかりの城、桜と水仙の並木道など観光地もありますので、お近くにお越しの際はこのコラムを思い出してお立ち寄りいただけたら嬉しいです。
診療所では通常の外来診療に加えて、往診や予防接種、学校医、健診、講義講演、警察医にコラム執筆と様々な業務をさせていただいています。総合病院ではなかなか経験しなかった仕事もあり、新鮮な気持ちで日々働いております。町の医者として頼っていただけることが嬉しい反面、期待に応えられるか不安に思うことも多いです。診療所のスタッフに支えられながらなんとか仕事の形になっているような状態ですが、少しずつ頼れる町のお医者さんになれるよう日々精進しようと思っております。
一人診療所では基本的にすぐ相談できる相手がいない環境のため、総合病院でいつでも気軽に先輩に助言をいただける環境がいかに恵まれていたかを痛感しております。診療所勤務を始めてからは、自分の勉強不足が患者さんの不利益につながるという責任の重さをより強く感じるようになりました。困ったときに紹介受診を快諾してくださる諸先生方に助けていただきながらなんとか一年を乗り越えることができました。病院ならびに開業医の先生方への尊敬の念がより一層深くなった一年でありました。診療所での勤務を終えて病院勤務に戻った際には、他の先生方が困ったときに今度は手を貸すことのできる医師になれるよう頑張りたいと思います。
最後に、群馬県医師会の先生方にも当院からの紹介等でお世話になることがあるかと思いますが、ご紹介時に勉強不足の点などがありましたらどんどんご指摘いただければと思っております。今後もご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。